2024.01.27
コラム
『スタッフ通信』Vol.21 ~メイク~

こんにちは!前回からメイク担当をさせて頂いている晴夏です!

第8弾「The Hunchback of Notre Dame」のテーマは【What makes a monster and what makes a man?】
このテーマを表現するために役者が舞台上で顔に墨を塗るというシーンが2つあります。

1つ目は物語のオープニング
“The Bells of Notre Dame”のラストで1人の青年が【What Makes a Monster and What Makes a Man?】と
歌いあげながら体を歪め顔に墨を塗り本作の主人公Quasimodoへと変貌するシーン。

2つ目は物語のフィナーレ
全てが終わってしまった後CONGREGATION(本作のアンサンブル)とQuasimodoの母であるFlorikaによって歌われる
愛に溢れた輝かしい”いつか”への希望。その歌とともにCONGREGATIONはQuasimodoと同じ様に顔に墨を塗り
体を歪ませます。そしてQuasimodoは墨を拭き取り、舞台上で唯1人墨が施されていない人間として登場し、
キャスト全員で再度【What Makes a Monster and What Makes a Man?】と観客に問いかけるシーン。

▲フィナーレで墨を塗るCONGREGATION

この作品の醜さの象徴である墨。そんな墨の作成を任せて頂けたことがうれしく気合十分で取り組みました。
しかし、どのように作るかアイディア出しの部分からとても苦労しました。

墨を作るうえで重要なポイントは舞台上で簡単に塗れて、すぐに拭うことができるということ。
そのポイントを意識して4パターンの墨を試作しました。
 ①舞台メイク用の黒色クリームタイプアイシャドウ
 ②ワセリンに①を混ぜたもの
 ③ワセリンに黒のパウダーアイシャドウを混ぜたもの
 ④ワセリンに黒の絵具を混ぜたもの

▲試作中。左が①、右が④

①は塗る際に力を入れないと綺麗に塗ることができませんでした。
②は①よりも塗りやすいですが、価格が他と比べて高額でキャスト全員分を用意するのは金銭面的に厳しかったです。
③は色味が薄く舞台上で綺麗に発色しませんでした。
④は他3パターンに比べて発色もよく塗りやすくそして安価でした。
その為、今回の公演では④を採用しました。

▲練習時にみんなで塗りました

墨を作成した後に出てきた課題はフィナーレでCONGREGATIONが塗る墨をどこにおいておけばいいのかということ。
舞台袖に置いておくと全員が袖まで墨を取りいく時間が生まれてしまいます。
普段の練習では袖に置いている想定で練習をしていましたが「本当に曲に間に合うのかな・・・?」という
漠然とした不安がありました。

小屋入りしてセットを組んでみるとやはり袖が狭く、2階建てのセットの柱にお皿を置いて舞台上で墨を取る
形式をとることにしました。練習無しの本番1発勝負でしたがなんとか全員が顔に墨を塗ることができました。

▲木脚にお皿を設置して墨をとれるようにしました

そして本公演のフィナーレ。
BELLS OF NOTRE DAME!の声とともにキャスト全員が横一列に並び最高のラストを迎えることができました。
あの感動は一生忘れません。

▲フィナーレ!

さて、今回出てきたメイクの課題は作品の時代にあったヘアメイクがあまりできていなかったというもの。
やはり舞台上でセットや照明、音響のような大きな効果は少ないものの、お客様が作品の世界に入り込む
手助けをする面でヘアメイクは必要不可欠な物なのだと実感しました。
次回作では、時代考証をしっかりと行い時代にあったヘアメイクをしていきたいと思います!

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