ABOUT EIYUKAI THEATRE GROUP
プロジェクト制で、やりたい時に参加するというスタンスです。年代、国籍を問わず集まったメンバーで創意工夫を重ね、アイデア面でプロと並ぶことを目標にしています。
公演はセリフ・楽曲含め全編英語で行います。英語を学びたい方、英語劇に興味のある方、チームで一つのものを作りたい方、ぜひ皆で作品を形にしましょう!
英友会有志劇団では、皆様からの寄付を募集しております。寄付についてはこちらをご確認ください。
<過去の公演> | |
2014.10.18 第1弾『Frozen』 @千葉市南部青少年センター |
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2015.12.12 第2弾『Frozen Fever』 @千葉市南部青少年センター |
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2016.10.29 第3弾『The BEAST』 @千葉市南部青少年センター |
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2019.1.20 第4弾『COCO』 @千葉県文化会館 小ホール |
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2019.11.30 第5弾『Les Misérables』 @千葉市南部青少年センター |
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2021.5.16 第6弾『The Greatest Showman』 @船橋市民文化ホール |
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2023.3.4-5 第7弾『Frozen II』 @千葉市南部青少年センター |
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2024.1.20 第8弾『The Hunchback of Notre Dame』 @久喜市栗橋文化会館 |
MEMBER’S VOICE
はじめまして!
「The Greatest Showman」で曲芸師W.Dを演じましたSHOKOと申します。
歌、ダンス、お芝居、英語が大好きな私。キャストを募集しているタイミングで偶然「英友会有志劇団」の活動を知り、「これは参加すべき運命!」と果敢に(?)応募させていただきました。
2020年3月、初めての稽古。
準備運動でメンバー同士打ち解けた後さっそく、「The Greatest Showman」といえばこの曲とも言える「This is me」の振り入れを行いました。
運動不足で体力に不安があった私も、ダンス指導の先生のかっこいい振りを夢中で真似ているうちあっという間にダンス稽古終了。その後歌の稽古で更にテンションアップし、興奮状態のまま初めての稽古を終えました。
「ああ、やっぱり楽しかった!思い切って参加してよかった。次の稽古が待ちきれない!」そう思ったのを覚えています。
ところがここからコロナウィルス対策のためのなが〜い自粛期間に入ったのでした(涙)
しかしその間も運営チームの方々がプロジェクトを進めてくださり、オーディションを経て配役が決定。稽古も8月より再開。メンバー同士打ち解けて来たのもあり、稽古の一回一回が本当に楽く、ワクワクキラキラした気持ちでした。稽古の翌日会社に行くと「周りの景色がモノクロに見える」という謎の症状が現れる程に(笑)
にもかかわらず、12月にはまた緊急事態宣言のため活動が休止。その間はZoomやホワイトボードアプリ(セリフを言いながらWB上の自分に見立てたコマを動かすという画期的な稽古方法!)を使って稽古を続け、3月の活動再開にこぎつけました。
公演直前のGWには毎日稽古がありました。この頃にはメンバーの絆も更に深まり、家族のような感覚に。ディレクや先生からの喝が入った(ありがたや~)のもあり、各人の意識がぐっと高まりました。演出やダンスの指示に対して皆が「はい!」と気合の入った返事をするようになったり、その日注意された事をLINEで自然と誰かがアップし共有したり、ディレク任せだった演技の解釈をメンバー同士で話し合い、どうしたら気持ちを表現できるか、動きが自然か等を話し合ったり。
皆自分に何ができるかを探して、指導者、運営チーム、キャストの立場を(いい意味で)超越し積極的に関わっていく姿が見られました。その皆の真摯に取り組む姿は、舞台だけでなく仕事や私生活においての私の意識を変えました。芝居ダンス歌英語だけでなく舞台に対する姿勢や考え方、プロジェクトへの関わり方、そして大袈裟かもしれませんが「自分の人生においての在り方」などを学んだように思います。
「The Greatest Showman」プロジェクトに関わった、才能豊かで努力協力を惜しまない素晴らしいメンバーと一緒に夢を追いかけ、舞台を作りあげたことは私の誇りです。
これをお読みいただいているあなた、年齢性別社会的立場など関係なく、「公演の成功」という一つの目標に向かって有意義な経験をしませんか?
一緒に熱く魂を燃やしましょう!!
今回Elsa役で参加しました、いけじです。
この劇団の設立当初から参加しており、これまでの作品全てに出演してきました。
結論から言うと、今回の作品「Frozen II」は今までで一番思い入れのある作品となりました。
劇そのものについて言えば、映像の投影による魔法の表現、コーラス、衣装やメイクアップ、PR方法、とにかく全てがパワーアップしていました。
ただ、初めから順調だったわけではありません。むしろ最後の1ヶ月ほどで出来上がったものがたくさんありました(笑)
ギリギリまでどうなるのか…!!という不安を抱えながらの練習ではありましたが、やはり形になってくるとテンションは上がるものです。
こればかりは毎回変わりません。
そして今回私にとって一番大きかったのは、共に作品づくりに携わってきた仲間の存在です。
ネットや紹介など、様々なルートを通じて集まったメンバーは、年齢も住んでいる場所もバラバラ。
ただ「英語劇を作りたい!!」という共通の思いをもってして奇跡的に集まったのです。
初めこそ人見知りを発揮しましたが、だんだん仲良くなり、毎回の練習が楽しみになりました!
公演当日は、もうこれで終わってしまうんだ…という思いから自然と涙が溢れてきてしまいました。
第1弾から参加してきた私も、学生から就職、結婚と、回を追うごとに立場が変わってきています。
劇団に充てることのできる時間や労力も年々変わってきているわけですが、毎回作品を通して出会う、普段普通に生活している限りでは決して出会えない仲間との出会いは、確実に私の人生に彩りを与えてくれています。
最高の舞台を作る仲間の一員になれたことを、心から幸せに思います!
はじめまして!
『Frozen II』でYoung Iduna役をやらせていただきました晴夏です。
AnnaとElsaのお母さんの幼少期ということで、実年齢よりもかなり若いキャラクターでした。12歳の無邪気さ、実体のない風の精霊Galeとの戯れという難しい演技が多く出番が少ない割に悩みの尽きない役だったなと思います。
また、メイク担当として裏方としても活動しておりました。
自分自身は美容系の職についている訳でもなく、専門学校に通っている訳でもない、ただの素人です。9月に開催されたFrozen Song Festivalの際、数人のメイクにアドバイスをしていたところ、メイク担当やってみたら?とお声掛けいただき、スタッフとしても活動をすることが決まりました。
メイク担当の仕事は主に3つです。
1つ目はメイク案作成。
主要キャラクターだけではなく全キャラクター分の案を作成するため、繰り返し原作の映画を観てキャラクターの顔の特徴を研究しました。また、Svenなどの変わったメイクに関しては自身の顔でメイクを試して該当キャストに写真を送り参考にしてもらえるようにしていました。
2つ目は当日のメイクアップ。
ベースメイクはキャスト自身でやっていただいてアイメイクなどの細かい部分は私が担当するようにしていました。ゆめチャレンジやポスター撮影でメイクの経験を積む機会があったため、公演当日は当初の予定よりもかなり巻きで終わらせることができました!
そして3つ目はウィッグ作成です。
『Frozen II』はビジュアルがとても大事です。そこに欠かせないのがウィッグ。ホワイトブロンドやオレンジブラウンといった色味はブリーチをしなければ綺麗に発色しません。しかし、ウィッグを使用する事で原作に近い髪色にすることができます。ウィッグの加工もインターネットやYouTube等を利用して自分達で行いました。
メイクはキャストがキャラクターへ変身する大きな手助けとなります。客席からはあまり細かいところまで見ることはできませんが、細かく凝ったメイクはキャストのモチベーションを上げるにはとても有効な手段なんだと今回感じました。実際にキャストからも「ありがとう」や「すごい」といった言葉をもらい自分自身も達成感を覚えました。
元々キャストのみを希望していた私でしたが、メイクという楽しい世界を発見し、賑やかで個性豊かなメンバーと共に素晴らしい舞台を作ることができました。
これを読んでいる皆さんもキャストだけでなくスタッフワークでも参加してみませんか???
稽古場で会える日を楽しみにしています!
【メイクスタッフコラムはこちら】
第8弾『The Hunchback of Notre Dame』で売春宿の主人、Madam役をやらせていただいた美穂です。他にもアンサンブルとしてパリ市民やジプシー、石像、時には聖歌隊と様々な役をやらせていただきました。
この作品はとにかく覚えることがたくさんありました。楽曲だけで34曲、ソロ曲をのぞく21曲を練習しました。中にはラテン語も含まれていましたがどれも美しい曲ばかりで、歌えるようになるのがとても嬉しかったです。今回は外部の合唱団にご協力をいただいたのですが、声の厚みで一気にシーンに奥行きが出て、壮大で鳥肌がたったのを覚えています。
キャラクター毎の分析はもちろんですが、石像らしい動きの研究や、ローブのフードをかぶる練習、素早く脱ぎ着する練習などもしました。大道具の転換も多く、脳みそフル回転で、なかなか覚えられない私にとってはまさに「脳トレダーム」でした。笑
スタッフとしては衣装係を担当しました。大助祭フロローや、聖アフロディジアス、市民服やルイ14世のガウンなどを製作しました。舞台版の衣装は細部のデザインが丁寧に作り込まれています。私はキャラクターのイメージが崩れないように、舞台版の衣装をできる限り真似することから始めました。
とはいえ、私は型紙を起こしたことがないので、まずは新聞紙で形をつくってみたり、図書館で型紙つきの本を借り、似たようなデザインから型紙を展開していきました。
フロローは、ひだをたっぷり使ったデザインの上、重ね着もするので白の聖職者の衣装だけで生地を10mも使用しました。一番力を入れたのは、Hellfireのシーンです。歌い終わりは両腕を左右に広げる動きがあるのですが、炎の中心で歌っているようなイメージになるよう裾や袖がきれいなAラインになるようにこだわりました。ただ袖にたくさんプリーツをほどこしてあるため、どうしても袖下の生地が余ってたるんでしまい、とても難易度が高かったです。
ローマ法王もかぶっているズケットといわれる帽子は、最初に作ったものが「河童のようだ」とのコメントがあったので、これも何個も試作をしました。小さくて落ちてしまうので、内側の布をフェルトにしたり、滑り止めシートをつけてみたりと工夫を重ねました。つけ心地が軽いので、つけていることを忘れてしまい、そのまま稽古場の外へ出ていこうとする根岸さんも面白かったです。着々とフロローが出来上がっていくのが楽しくて、結局青年期以外は全ての衣装を作りました。
聖アフロディジアスは、首が落ちる動作があるので、まずは仕掛け探しからのスタートでした。種明かしをすると、衣装の中にハンガーが仕込んであるのですが、首が落ちた時にハンガーの角が目立ってしまうため、肩パッドを入れて肉付きをよくしたり、仕掛けが外から見えないように工夫しました。さらに森田さんの名演技で最高のアフロディジアスになりました。落ちる時にカクッという音もするのです。怖すぎて悲鳴が起きるほど、リアルな動きで驚きました。
中世の市民はチュニックと呼ばれる丈が長めのトップスを着ていました。当時から幾何学模様や毛皮など、派手な柄やカッティングも多くとてもお洒落なのです。役者さん1人1人の顔を思い浮かべながらデザインを考え、特にフィナーレで一列に並ぶ場面を想像して作りました。どれも手間はかかりましたが、役者さんが生き生きと演じてくれたので、舞台上で衣装がとても映えました。これほど嬉しいことはありません。
この劇団は様々な能力をもった人が集まっています。それぞれが自分の得意を出し合いながら作品作りをしています。演出指導や歌唱指導、曲の編集作業、作品を世に広めていくPR活動やセンス抜群のポスター、美しいステンドグラスも手摺も階段も、すべてが手作りです。それが照明で彩られた時に全てが輝きを放ち、皆で舞台に立てる幸せを全身で感じることができました。皆さんと出会えたこと、この作品を作った経験は一生の宝物です。
英友会有志劇団に興味がある方、ここでしかできないことに是非チャレンジしてください。
ありがとうございました。
第8弾「The Hunchback of Notre Dame」で、悪役のフロローを演じさせていただいたトトです。英友会有志劇団には、第6弾から2人の娘と一緒に参加させていただいております。
当初「The Hunchback of Notre Dame」はほとんど知らなかったのですが、演出助手と振付を担当することになった長女のRinから「トトはフロローが似合うと思うよ」とリコメンドされたことをきっかけに、フロローにチャレンジしてみることにしました。オーディションに挑戦し、運良くフロローを演じさせていただく運びとなりました。
後から気づいたのですが、実はこのフロローという役、信心深く理屈っぽい悪役なので、歌詞を含めたセリフ量が他の役と比べて圧倒的に多く、数えてみると383段落・15,246文字のセリフがあります。この文字数は、主役のカジモドやヒロインのエスメラルダのなんと約2倍にあたります。
しかしながら、私は若者と異なり①記憶力も衰えており、②英語も苦手で、③歌も下手という、3つの問題を抱えているため、大変苦労しました。
①のセリフについては、台本を分析して習得計画を立てました。仕事の前に会社で自主稽古、会社が終わったら公民館等で自主稽古、電車の中では必ず音楽や動画を確認し、自転車や徒歩の時間は一人でブツブツとセリフや歌を口ずさむ毎日を過ごしました。いかんせん悪役のセリフですし、怒鳴りつけるようなセリフも多いため、周囲の人はかなり怪しんだのではないかと思います(笑)。
その甲斐あって、9月にはすべてのセリフを暗記しました。しかし、立ち稽古になると頭から吹っ飛びフリーズしてしまい、まさに「筆記試験はできるけど実技はできない」状態です。
特に、同じメロディなのに全く違う歌詞の歌が台本全体の4箇所に散りばめられているのですが、例えるなら「もりのくまさん」を正確に1番から5番まで歌うのが難しいように、どうしてもごっちゃになってしまうなど、あちこちに覚えを悪くさせるトラップがありました。
そんな中、他の若いプリンシパルは、7月にはすべて暗記している状態だったので、掛け合いがいつまで立っても成り立ちません。そんな私を、まるで老人を介護するかのように優しく見守り、励ましていただけたことには本当に救われました。プリンシパルと演出補の方だけで稽古外の日程で集まり、主に私のキャッチアップやブラッシュアップにかなりの時間を割いてくれたことにも感謝しかありません。プリンシパル以外の皆様からも、セリフを覚えやすいように整理してくださった方や、読み合わせに付き合ってくださった方もいましたし、娘たちにもかなりサポートしていただきました。おかげで気持ちの面でも頑張ることができ、12月には立ち稽古も成り立つレベルにまで成長することができました。
セリフのインプットができた体験を通し「この年齢でも、やろうと思えばできるんだ」という自己肯定感を持つことができました。
次に②の英語です。単語の意味はすべて調べましたが、文法の意味がわからないところが多々ありました。文法の意味がわからないと暗記もしにくく感情も入れにくいので、わからないところはグループLINEなどでたくさん質問をしたのですが、英友会には英語が得意な方がたくさんいらっしゃり、私の疑問にすべて答えていただきました。
例えば、こういうやり取りがありました。
■トト:SHE DANCES LIKE THE DEVIL HIMSELF—
この最後の「himself」は何でついているのでしょうか?疑問は2つあり、そもそもこの単語がなくても意味は変わらないのでは?という疑問と、女性のことを指しているのになぜ「him」なのか?という疑問です。
アメリカでは「devil」は男性しかいないとか?でも、ダイバーシティが進んでいる国でそんな発想があるとは考えにくく‥
□有識者の回答:devilの語源であるラテン語のdiabolusが男性名詞で、派生したイタリア語のdiavolo、フランス語のdiable、スペイン語のdiabloもすべて男性名詞です。
したがって英語のdevilも通常は男性代名詞を使うのだと思います。
■トト:That’s a good boy「いい子だ」
カジモドに向かって言っているので「You are a good boy」だとピンとくるのですが、なぜ「That’s」なのか感覚的にわかりません‥
□有識者の回答:That’s+名詞は、誰かが誇らしい行動をとった時の会話表現で、That’s my boy/girl「それでこそ私の〇〇!」の様によく使います。That’sに強調を置くと雰囲気出ます。
またこの発言は、Quasimodoを全体的に評価したものというより、その時のQuasimodoのふるまいに対してのものだと思います。慣用表現ではあるものの、Thatは従順なQuasimodoの態度を指示していると考えることもできるかもしれません。
■トト:Witchcraft! You all saw that. We must find them! Find them if you have to burn down all of Paris!
「魔術だ! 見ただろう 奴らを捜し出せ! たとえパリを焼き尽くしてでも!」
→後段の文は「If」で繋がっているので、「もしあなたがパリを焼き尽くしたなら、彼らを探せ」という、本来の意味とは逆の意味に感じてしまいます。「たとえ〜しても」なら、「even if」や「even though」が正しいように感じるのですが、Ifだけでもそういう意味があるのでしょうか?
□有識者の回答:文法的には、evenなしでifのみでも「たとえ〜だとしても」(譲歩)の用法があります。
■トト:Now we can finally go back to the way things were.
「これでやっと 元の暮らしに戻れるな」→最後の「the way things were」がどうしても「元の暮らし」に訳せません。ここの文法解釈を教えてください
□有識者の回答:➀the way (関係代名詞that) ➁things ➂were
➁物事が➂そうあった➀状態 →元の暮らし
■トト:WHATEVER THEIR PITCH YOU CAN FEEL THEM BEWITCH YOU THE RICH AND THE RITUAL KNELLS
「“轟くように厳かに囁くように美しくどんな音色でも聞く者を魅了する“」
→最後の「THE RICH AND THE RITUAL KNELLS」が何度考えてもこの訳と一致しない気がします‥
□有識者の回答:The rich and the ritual knells : 「豊かで厳かな(儀式的な)弔いの鐘」を指してtheir (pitch) やthey (bewitch you)が使われています。わかりやすく並べなおすと、Whatever their pitch (is ←省略), you can feel [the rich and the ritual knells] bewitch you. 「その音色がどうであれ、豊かで厳かな弔いの鐘(の音)があなたを魅了するのを感じることができる」となります。
また、文法だけではなく、発音についても難がある私でしたが、こちらも英語が得意な仲間が都度修正をしてくれました。特に、発音が不明瞭なことで文章の意味が変わってしまうところ、例えば「thing」と「sing」、「see」と「she」など、似ているが発音が異なる単語については、意識的に正しく発音するよう指導をいただきました。
フロローのメインソング「Helfire」についても、「r」の発音が重要だと指摘を受け、個別に1~2時間くらいかけてマンツーマンで発音を教えていただいたりしたこともありました。
そして③の歌です。フロローはソロの歌が長短合わせて12曲あります。これまで歌をきちんと勉強したことはなく、歌には苦手意識がありました。
私以外のプリンシパルは全員歌がプロ並みに上手かったこともあり、ディレクターも私をかなり不安視したからか、今回のプロジェクトに「歌唱指導」で協力していただくボランティアの先生を2人も呼んでいただきました。ボランティアとはいえ驚くような歌唱経歴をお持ちの先生方で、表情の作り方、呼吸の仕方、姿勢、発声の仕方、表現方法など、かなり細かくご指導いただきました。特に私は集中的に指導を受けさせていただき、以前よりは歌について理解することができたと感謝しています。2人の先生以外にも、出演者仲間や家族からも都度指導をいただきました。皆さん本当に私の歌が不安だったのだと思います(笑)。お世辞で「本番は前より良くなったよ」と言ってくださる方もいましたが、純粋に嬉しく達成感を味わうことができました。
歌は歌唱力の他にも「歌い出しのタイミング」という難関がありました。「同じようなフレーズの前奏を8回聞いたら歌い出す」などという曲がいくつもあったのですが、フロローはその前奏の最中もセリフを言っているので、「8回」などのカウントがしにくいのです。私は音楽制作担当もやっていたため、どうしてもカウントが難しい曲については、きっかけとなる音をDTMで作成したりもしましたが、それが許されない曲もあり、練習を重ねるしか解決策がありませんでした。結果的に、20%の確率で失敗する状態で本番に臨みましたが、運良く本番は成功しました。
以上、記憶力・英語・歌の3つの問題を、仲間の力で乗り越えることができました。
またこの劇団は演技そのものの他に、衣装製作・セット製作・小道具製作・メイク・音響・照明・字幕・マーケティングといった分野でも、信じられないくらいのエネルギーを費やし、強いチームワークを発揮し、そしてプロ顔負けのクオリティを実現する力を持っています。プロに近い転換や舞台構築を実現するため緻密に計算された可動式セットを設計し、1センチの狂いもなく実現してしまうセット担当の皆様、プロ顔負けのこだわりを持った衣装を何度も手直ししていただきながら作成してくださった衣装製作の皆様、稽古のたびに早朝からセットをレンタカーで運搬して稽古会場に運び込む作業を買って出てやってくださった主要スタッフの皆様、試行錯誤を重ねてエンディングで顔に塗る「墨」を開発してくれたメイク担当の方、ピンマイクやバウンダリーマイクの設置と調整に奔走してくださった音響の方々、類まれなクオリティでウェブサイトやパンフレットを製作してくださったマーケ担当の方、他にもたくさんの方が、皆さんお仕事や子育てなどで忙しい合間を縫って、たった1回の舞台の成功のために全力を尽くしました。私はフロローの習得で精いっぱいでしたが、音楽制作や大道具製作を中心にできる限りの参画をしました。寒い中屋外で集まりステンドグラスを製作したことや、週に1回の音楽制作担当ミーティングでDTMの使い方を学んだことなど、良い思い出です。
英友会有志劇団は、「ディレクター」「演出」「歌唱指導」などの役割はあるものの、全員がどうにかして良い舞台を作ろうという意識を持ち、色々な場面でリーダーになりながら目標に向かって全力を尽くす集団です。自分の特技を見せつけたいわけでも自慢したいわけでもなく、全員が純粋に「この舞台を良くしたい」という気持ち1本で取り組んでいるところが素晴らしく、演技面でも気持ちの面でも仲間を支えながら、誰一人として欠落したりすることのないよう声をかけあっていく劇団です。プロではありませんが、プロと異なり参加者全員の力を活かすところが、ある意味プロを超えています。入場料を1円もいただかず、ここまでのハイクオリティな舞台を提供する集団としては、おそらく世界一ではないでしょうか。世界一本気の「趣味」に取り組んだ自負があります。
最後に、一緒に参加してくれた長女と次女に、心の底からの感謝を伝えたいです。
2人と一緒に、この「世界一の趣味」に参画できたことは、私にとって一生ものの宝物です。
長女とは夜な夜な劇団の話をしながら、落ちこぼれプリンシパルの私を常に励まし支えてくれました。どんなときも「トトは大丈夫だよ!」と元気づけてくれました。それがなければプリンシパルなんてできませんでしたし、やろうとも思いませんでした。稽古にもたくさん付き合ってくれましたし、彼女自身の経験を活かしたアドバイスもたくさんしていただきました。何より、一般的には父親とは距離を置く年代の長女とたくさん会話をし、シンパシーを感じる機会を持てたこと自体が、私にとってかけがえのないことでした。
小学生の次女は当初、子供の参加者が自分ひとりしかいないことに強い不安があり、何度も辞めようとしていました。しかし日を追うごとに、この劇団にいることの価値や意義を理解してくれ、「英友会の人と一緒にいると落ち着くの」と、後半は稽古に行くことが生きがいになっていました。
私はかねてより、娘たちと同じ趣味を持つことに憧れ続けてきました。こうして一緒にこの舞台をやり、やりきった後に娘たちとフィナーレで涙を流すことができたこと、幸せ以外の何物でもありませんし、一生分の親孝行をしてもらった感覚でいます。
長女は若くして指導役をさせていただき、諸先輩方に対して色々な失礼もあっただろう中、葛藤や悩みを皆様が受け入れてくれたおかげで有意義な活動ができましたし、次女はまだ手のかかる子供なので皆様にかなりご迷惑をかけたと思いますが、いつもそんな次女の面倒を見てくれた周囲の皆様の優しさがあったからこそ続けることができました。
家族での活動ができたことは、劇団の皆様のおかげです。本当に本当に、ありがとうございました。
これからも、英友会有志劇団が更に良い活動ができることを祈っています。新たに参加を検討いただいている皆様、是非「本気の趣味」の世界へ足を踏み入れてみてください。お待ちしています!
GALLERY
はじめまして!
『Les Misérables』公演でMarius役をやらせていただきました小久保です。
革命への情熱とCosetteへの愛の狭間で悩み苦しむ、そんなMariusのキャラクターは自分の性格とは似てない部分も多く、演じていく中で苦労もありました。
ただ、その分だけ新しい自分を経験することができて、非常に新鮮な体験になったのが今回のLes Misérablesです。
個人的なお話をさせていただくと、英友会有志劇団の母団体である千葉大学英語部(ESS)に元々は所属しており、その頃からチョイ役で英語演劇には参加させてもらっていました。
ただ、人生で一度はメインキャストとして思いっ切り舞台を楽しんでみたいと考え、今回はMarius役に手を上げました。
普段から役者をやっている訳ではなく、平日は大学院で研究を行っているので、正直言って予想以上にLes Misérablesにかける時間を確保するのは難しかったですが、劇団内の雰囲気が良く、「個々人ができる範囲で負担を受け持つ。それ以上の負担は分散させる」というポリシーがあったため、最後まで無理なく演劇に参加することができました。
今回のLes Misérablesを通して、演劇の本当の楽しさを経験させてくれた劇団のメンバーには感謝してもしきれないと感じてます。
最後に、この文章を読んでくださっている方で、もし演劇をやってみたいと思っている方がいましたら、英友会有志劇団を強くオススメします!
劇団の愉快でフレンドリーなメンバーと一緒に、是非とも最高の演劇体験をしましょう!!