2023.05.13
コラム
『スタッフ通信』Vol.20 ~パペット製作②~

(の続き)
第4弾「COCO」で犬のダンテを製作した(『スタッフ通信』Vol.2)ことから、ともろう君から都合2回引き継いでオラフ製作を行いました。

劇団のモットー「やりたい作品を形にする」も踏まえ、キャスト自身が動きを考える必要があることから、オラフ役自身で製作して何度もアップデートして練習していましたが、Frozen Song Festival、ゆめチャレンジ・本公演に向け2度引き継ぎしました。

Song Festival向けでは、お客さんが「パッと見て雪だるまのオラフとわかること」に加えて、次の2つの課題にチャレンジしました。

①激しい動きで壊れないようにすること

胴体をクッション素材で製作して頭部を布製マットで成形する「ぬいぐるみ」式で製作しました。どちらも100均素材で材料費を抑えて、手縫いすることで強度を実現しました。

支え場所は頭部に手を入れることにしましたが、役者がずっと中腰でいる必要が生まれ、苦労をかけました。

②腕(木の枝)を自由に動かせること

本格的なパペット製作では関節部品の作成から行いますが、技術も予算もなく思案した結果、100均ワイパーの付け根部分を部品に転用しました。

胴体と頭のベースができたところで、役者ともろう君に引き継いで、「雪だるま」感の表面や腕の仕上げをして、Song Festivalでは壊れることなく無事終幕しました!

ですが、頭部に芯がないため潰れること、縫い目が粗いため壊れかけとなるといった構造的な問題のほか、そもそもサイズが小さすぎるため思ったような演技動作できないため、Song Festival後に役者が作り直しすることになりました。

しかし、ゆめチャレンジ・本公演に向け演技動作本格化するなか何度も壊れてしまい、本公演2ヶ月前に未完成のため再び引き継ぎ製作しました。

前回の課題に加えて「足が浮いて歩いているように見えない」ためにサイズをひと回り大きくすることにしました。海外での製作動画もいくつか見ましたが、立った演技だけでなく座ったり寝たり吹き飛んだりするので、通常のパペット重量で役者胴体へ固定することができないので悩みました。結果、コスプレ素材にも使う100均マット素材で製作。成形には多用途強力接着剤が活躍しました。

演技でオラフの視線が重要ということで、頭部は左右回転の動きとアナやエルサの顔を見上げる動きの両方が必要であることから、頭部の芯に100均のお風呂ブラシを加工して部品に使うことにしました。芯によりゆめチャレンジの時のように潰れないようにもできました。左右回転の動きは、結果強度不足で本番数週前練習で壊れてしまったのですが、ハンドスピナーを結合することでベアリングの軽量かつスムーズな動きを実現しました。

Song Festival向けの際には製作できなかった足は、リールキーホルダーでつなぐことで座った時に前に動くという、アニメのような骨格のない動きを実現しました。各パーツの接合には100均の結束バンドが活躍しました。腕や頭部の枝は、アルミ針金を芯にしてフェルトを巻き表面をテーピングでグルグル巻きにして、アクリル絵具で着色しました。遠目ではそれっぽく見えたかと思います。

頭部持ち手は頭部の芯に100均ステンレスを加工してねじ止めしました。サイズが大きくなることで重量も増えて役者の手首に負荷をかけてしまったのが反省点でしたが、役者とパペットが一体の「オラフ」となり舞台で生き生きと演技していたのが何よりでした。

今後パペット製作が必要な作品のプロジェクトがあるかは分からないですが、もしあれば、歌唱の際に口を動かす、まぶたを閉じるなど表情を変える、役者が動きやすくする、細部の仕上げを意識して製作する等、チャレンジできることはまだまだありそうです。

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